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 CEA: Consulting Engineers Associates

活動報告report

新規開業技術士支援研究会

2015年までの記録(ネット会員限定)

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日本技術士会登録グループ 新規開業技術士支援研究会活動内容

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1.日時:12月3日(土)
2.場所:北トピア801室
3.講師:大園剣吾氏(金属部門)、山寺哲二氏(経営工学)
4.出席者(敬称略):松下、大輪、島崎、濱田、井合、中原、米森、福原、井上、渡辺英、渡辺国、大薗、久井、佐藤、山寺、小沼、大久保、森田、菅野、小林(記)(全20名)
5.事例紹介:講師と事例
(1)大園剣吾氏(金属)

大園剣吾さん(金属部門)
大園氏は金属部門の技術士で薄膜や表面加工をが専門である。つい先日、本年11月末で会社を退職した、38歳の若き独立自営の技術士である。
会社では、スパッタリング、蒸着、コーティング、ラミネート、リソグラフィなどの仕事を担当してきた。
もともと独立心が強く自力で稼ぎたいと思っていたことと、若い技術者が独立した事例は少なくその事例になれるという大義もあり、すぐに独立したいという願望もあって、技術士としての独立開業を志向した。
独立して今後やりたいことは、専門を活かして「開発・製造の難易度の高い問題を解決すること」で具体的に「やりたいこと」「やれること」「市場性等」を分析した内容の紹介があった。また、それをどう仕事に結びつけていくかの事業プロセスの説明があり、最初は営業・技術コンサルタント会社で非フルタイムで働きつつ、並行して技術士事務所業務のサービス開発・顧客開発を行っていき、最終的に技術士事務所の仕事で完全に独立したいとのことであった。
独立に向けての行動開始の必要条件は「技術士登録」「精神的な支え」「家族の協力」だったとのことで、今、必要に思っているのは、「技術者としての守破離」「強い志とレジリエンス(立ち直る力)」「先輩技術士への相談」だそうである。


(2)山寺哲二氏(経営工学)

山寺哲二さん(経営工学部門)
山寺氏は2015年に技術士登録、勤めていた会社で役職定年となったのを機に2016年9月に退職して56歳で独立した。
会社では、入社当初は技術研究に従事。開発を担当したものを製品化する際に、そのプロジェクト管理も担当した。
入社約10年後、生産部門に異動となり、納期、工程管理などの管理業務に従事。約8年経って技術部門に戻った後も、技術の管理部門の仕事をした。
中小企業診断士の資格も持っており、製造業などの中小企業支援活動もしていた。また、日本技術士会の神奈川県支部の地域広報小委員会の活動なども行ってきた。
独立して、現在は会社設立に向けて準備中。企業の経営改善を支援する会社を作りたいと考えている。経営方針は「現場、担当者に密着した活動を旨とし、経営改善や人材育成を「改善活動」を通して実現する。」とすることを考えているとのこと。
最後に、退職してからの失業保険等の手続きに関する実例の紹介があった。

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1.日時:11月5日(土)
2.場所:北トピア701室
3.講師:青木規明氏(経営工学)、星野結子氏(環境)
4.出席者(敬称略):青木、星野、諌山、今井、小田、渡辺英、大薗、久井、加藤、佐藤、鶴巻、篠崎、渡辺国、吉原、大野、阿部、山寺、前嶋、小沼、大久保、森田、菅野、小林(記)(全22名)
5.事例紹介:講師と事例
(1)青木規明氏(経営工学)


青木氏はロジスティクスを専門とする経営工学部門の独立開業技術士である。大学の管理工学科を卒業後、大手物流・プラントエンジニアリング会社に就職。40年勤めた後、今年10月に独立した。
会社勤務の時は、生産改善、ロジスティクス関連の業務に従事。製鉄所構内の自動倉庫や、重機メーカー、ガラスメーカーの工場の物流設計、開発、立ち上げ、操業指導などを行った。
さらに、大手流通グループと流通改革共同研究会を作り、流通合理化や流通戦略の共同開発を行ったこともある。
また、サードパーティロジスティクスという、メーカーなどの物流全体を請け負い、効率的で低コストの物流サービスを提供する大型プロジェクトのプロジェクトリーダーも経験した。
他に、社内外の研修講師として、人材育成の仕事も行ってきた。
40年間勤める中で、会社の中だけで仕事するのでは無く、外の世界も見てみたくなった。そのためには資格も必要だろうと技術士にチャレンジ。昨年合格し、今年の9月末に退職。10月に「生産ロジスティクス研究所」を立ち上げ独立した。
今後は、生産管理、ロジスティクスの領域で製造業、流通業のお客様の問題解決に取り組むことを理念とし、今年1年目から6年目以降までのビジョンを立てて、事業運営を構想しているとのことである。


(2)星野結子氏【環境)

星野さんは環境部門の技術士で、環境コンサル会社を経て、現在は農業を主な仕事としている。
会社勤務時代に農家と接点があり、外から見ているだけでなく、これ以上農業を知るには自分でやってみるしかないと思い、12年前に会社を辞め農業を始めた。日本は食糧自給率も低く、将来展望を考えても農業には需要があると思ったとのこと。
実際にやってみると、効率的な野菜作りの方法などの「技術・知識」、投資と生産性と販売のバランスなどの「経営」、屋外作業や力仕事を効率的に行う「体力・労働」が組み合わさって「技能職」として機能することで収入になるものだと分かった。
試行錯誤の末、売上と収入が向上した転機は、売り先を確保したこと、売り筋・主力品を設定したこと、ある程度の品質が確保できるようになったことだそうである。そして効率的な作業の要領・段取りが分かってきたのは、農業を始めて7〜8年経った頃だったそうである。
同業者、異業種とも交流することで、外から農業がどう見られているかが分かった。また、勉強会やセミナーにも参加し、技術士の別分野の試験勉強をすることで、コンサルタント的な考えを維持できた。これにより、コンサルタントの仕事の依頼にも対応できている。
技術士で農業従事者はごく稀少。しかし、農業は多忙であり、他業の営業は困難。コンサルタント等の仕事の依頼があっても、農業に影響するものは断っているとのこと。また、農業でそれなりの収益を得るには、農地確保、生産量向上、人手の確保が必要とのこと。しかし、今、農作業をしてくれる人を確保するのは大変難しいそうである。
これまで掛けてもらった言葉で印象に残っているのは「百姓仕事は楽しいかい?楽しければ何でもできるから大丈夫。」「色々やってごらん。そうすると失敗する。それで考えて工夫する。そうすると覚えるよ。」「100円野菜を大事にしなさい。」といったものだそうである。

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1.日時:10月1日(土)
2.場所:北トピア802A室
3.講師:斎藤孝史氏(電気電子)、平野輝美氏(化学)
4.出席者(敬称略):斎藤、平野、渡辺英、大薗、久井、加藤、佐藤、井上、阿部、岸、青木、鶴巻、外館、大久保、森田、菅野、小林(記)(全16名)
5.事例紹介:講師と事例
(1)斎藤孝史氏(電気電子)

斉藤氏は、現在、大手電気メーカーに勤務する電気電子部門の技術士である。
現在の会社に入社後、はじめはATMという通信方式の機器の開発と技術研究に従事。ノイズ対策やビット誤りなどの品質の研究を行った。その後、トラフィック理論に基づくデータ転送技術の研究を行い、このネタで技術士を取った。

その後に携わったIP-PBXの業務では、技術者もお客さんの所に出向くという制度があり、製品開発ではなくSE業務を行った。その際に監理技術者資格が必要で、技術士の資格を業務に活かしていた。

現在は「駆け込み寺」という業務で、社内にあるリソースを紹介してシナジー効果を得る業務をしている。ニーズとシーズのマッチングをメインとし、新事業創出の業務である。

社内のワークライフバランス研修で、ライフキャリアを考えるようになった。その中で起業を考え始めた動機は、一度しかない人生をはじけるものにしたいと思ったから。会社を辞めて一から立ち上げるのも重要な人生経験ではないかと考えた。会社の経営についても興味がある。ただし、会社の冠が無くなった時でも通用するか、という不安もある。
現時点での活動として、社内技術士会活動や社外の人材交流、情報収集と先輩技術士の活動の様子を知る、そして仕事の見つけ方の研究をしていきたいとのことであった。

(2)平野輝美氏(化学)

平野氏は、会社員を16年経験。その間に技術士を取り、取得後1年くらいで独立した。現在は、創造工学研究所を作り活動している。技術士の仕事には、公、官、民の業務があるが、公の仕事はあまり儲からない。

事業主としての仕事は、植物工場や「アンチシーベルトコンクリート」(放射線遮へいコンクリート)の開発などを行っている。最近手掛けているのは「銀鏡塗装」。バイクに使われてヒットした。ほかに、「自己修復塗料」などもやっている。

公の仕事として、「法工学」について日大で教えている。法医学に対して、ものが壊れた事故・事件を扱うのが法工学。これまで大学の先生がやっていたものを技術士がやりたい。個別の事件事故の解析を中心に、安全や安心を高めていく仕事にしたい。

技術士で独立するとは、個人事業主になること。探せばブルーオーシャンはある。独立前にあれこれ考えるのは畳の上の水練と同じ。とはいえ、やった価値はある。ただ、やったからうまくいくというものでも無い。

金の指輪はつぶしても金。原材料の価値は消えない。持っている技術に価値があれば、つぶしの効く技術士になれる。ただし、自営になるとなんでもやらないといけない。

その昔、先輩技術士に言われたアドバイスは、「服装と小物はきっちりとせよ」「時間に遅れるな」「お金のことを先にいうな」。今思い起こすと、これは確かに大事であるとのことであった。

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1.日時:9月3日(土)
2.場所:北トピア808室
3.講師:安藤 克己氏(機械)、佐藤一彦氏(情報工学)
4.出席者(敬称略):安藤、後藤、高橋、川村、竹下、吉原、大野、重見、伊藤、久井、加藤、佐藤、井上、大久保、森田、菅野(記)(全16名)
5.事例紹介:講師と事例
(1)安藤 克己氏(機械、金属)

安藤氏は大手製鉄会社を今年の3月に定年退職し、5月から開業届を出し自宅を事務所として、技術士事務所を開業している。
専門は金属の摩擦、摩耗、潤滑に関係したトライボロジー技術である。
材料技術、表面技術、機械設備一般に関連した技術コンサルティングを指向しており、日本技術士会のPLセンターに所属ている。
資格は技術士の他に博士(工学)、労働安全コンサルタント等を保有している。
コンサルの営業方針として、
・断らない
・安売りをしない
・信頼され、リピートオードを獲得できるようにする
とのことである。


(2)佐藤一彦氏(情報工学)

佐藤氏は大手電気通信機器メーカに所属しており、プリンターの試作開発や情報システムの開発を行ってきた。
インクジェットやレーザプリンタの仕組みや業界の動向などの話があった。
レーザープリンタでは、帯電、露光、現像、転写、定着の各ステップがある。
またプリンターの画質の向上ではジャギーの処理等の説明があった。
このプリンター業界は米国ゼロックス社に代表されるように、特許が重要で、佐藤氏も多くの特許を出願したが、
この事業は他社に売却され、現在情報システム関連の設計、開発、保守の仕事をしている。
質疑応答では、インクやトナーの粒径と解像度の話題があり、ここでは健康障害にも影響するのであまり細かい(粒径5ミクロン以下)トナーは実用化されないのではないかとのことである。

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1.日時:8月6日(土)
2.場所:北トピア808室
3.講師:掛川昌俊氏(機械)、大坪利行氏(経営工学)
4.出席者(敬称略):掛川、大坪、境、久井、山寺、蛯名、加藤、太田、土屋、佐藤、井上、渡辺国、大久保、森田、菅野、小林(記)(全16名)
5.事例紹介:講師と事例
(1)掛川昌俊氏(機械)


 掛川氏は大学の機械工学科を卒業後、ビル設備の設計や管理の仕事に従事し、2008年に独立した機械部門の技術士である。
独立当初より省エネ関係の仕事を続けているが、その他に事故調査の仕事なども行うようになった。
その事故調査の経験から「エレベータの安全と技術倫理」と題して事例の紹介があった。
エレベータの扉が開いたまま動いたことによる死亡人身事故が東京都港区と石川県金沢市であった。いずれの事故も設備の設計と使用中の保守に齟齬があったことが要因となっていた。
エレベータは適切に保守が行われる前提で設計されており、設計時に想定した保守の内容が、保守会社に伝わっていないとうまくいかない。また、施工、保守段階でのヒューマンエラーは必ず発生するものと考えなくてはいけない。
これらのことを考えると、
・保守がしやすい設計
・安全性を高める新技術や新基準の導入を促す仕組み
・エンジニア(設計)、テクノロジスト(検査)、テクニシャン(現場作業)それぞれの立場に応じた教育
が大切との結論が示された。
そして、エレベータ設備の発注者(ビルのオーナーなど)は保守費用削減ばかり行うが、適切な管理には発注者にも知識が必要であり、保守業者の実施能力の把握は必要とのことであった。
この発表を受けて、「発注者の後ろにはユーザー(国民)がいる。メーカーの技術者は発注者のご機嫌を取る。一方、技術士は国民の利益をどうやって守ることができるか、という立場で活躍することができる。国民の利益を守るということに対してどういう提案ができるか、さらに、実務上そういう立場を作ることができるかどうか、ということが独立につながる。」との意見があった。

(2)大坪利行氏(経営工学)


 大坪氏は経営工学と機械部門の技術士で、大学院を卒業後、プラント会社でプラントエンジニアとして勤務した後、航空会社に転職、地上設備や空港設備、整備、磁気浮上交通システムプロジェクトなどを手掛けた後、2010年に独立開業した。
独立開業について、33項目にわたって、ポイントの説明があった。
・独立時のライフプラン作成の重要性
・独立に際して会社の立ち上げ、口座作成、税務署への手続き、税理士、司法書士、社労士、弁護士の活用
・契約書作成、計画書作成、契約形態の重要性
・営業の姿勢、名刺や服装について
・国会図書館の活用や仲間の技術士との協業
・本当の意味での経験、人生の棚卸しの必要性。(本当に自分が経験したことでないと、お金にならない。)
・独自スタイルで儲けられるようになるまでの「守・破・離」
・健康の重要性、運動、食事、気分転換
などなど。
また、詳しくは「国際先端技術コンサルティング」のホームページ(http://www7b.biglobe.ne.jp/~otsubo/index.html)を見て欲しいとのことであった。

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1.日時:7月2日(土)
2.場所:北トピア802B室
3.講師:小川哲也氏(建設部門 建設環境)、山本亮一氏(応用理学)
4.出席者(敬称略):小川、山本、土屋、佐藤、小沼、井上、藤井、中野田、重見、渡辺英、吉原、澤田、大久保、森田、菅野、小林(記)(全16名)
5.事例紹介:講師と事例
(1)小川哲也氏(建設部門 建設環境)


小川氏は建設部門の技術士で、建設コンサルタント会社に22年間勤務した後、2015年4月に独立開業した。独立前の2年間も企業内起業をしており、独立に備えていた。

独立後は、建設コンサルタントとしての事業の他、研修プログラム事業や受注支援事業を行っている。受注支援事業で支援した案件で、受注率を大幅に向上させた実績もある。
建設コンサルタント受注支援では、顧客の感情に訴える提案ができるように指導しているとのこと。顧客が本当に解決したがっている問題は何かを察して、それを解決する提案をすることで、受注率が向上するとのことである。

コンサルタントとして顧客に提供するサービスは、頂く金額以上の価値が必要であり、そのために、サービスにはこちらの考えだけでなく、顧客の意見を反映する必要があるとのこと。そして、顧客にリピーターとなってもらえれば、顧客を新規開拓するよりも効率的に営業できるとのことであった。

また、自己管理のためのツールを作成しているとのこと。コンサルタントとして高い目標を達成するためには、自分がやるべきこと以外のことを協力者にお願いすることが必要であり、例えば、プロジェクトごとに作業分担フローを作って協力者に予め配ってしまい、自分はより重要な仕事だけができる環境を作っていくことが大切だそうである。
また、自己管理能力を強化することで、自信が生まれる、感謝の気持ちが生まれる、自己鍛錬の重要性がわかるといった主観的な効果もあり、自己鍛錬は雰囲気で相手に伝わり信頼を得る基にもなるとのことであった。
この自己管理に関するセミナーも業務の一つとして行っており、



(2)山本亮一氏(応用理学)


山本氏は応用理学部門の技術士で、大手フイルムメーカーに20年勤務した後、公設試験研究機関に勤め、3年前に独立した。

国の立場での仕事の経験(発注する立場としての経験)があるので補助金を獲得するノウハウがあり、それを営業ツールとしていろいろな企業とつきあっている。補助金を獲得する過程でその会社の経営状態などがわかるので、補助金獲得という短期業務の後に、顧問として長期の契約へ移行していければと思っているとのことである。

技術士協同組合では、大気圧プラズマプロセッシング研究会の世話人(ステアリング委員長)をやっている。多くの人を集めて研究会を作るというのは、とても勉強になり、また仕事にも繋がることがあり、OJTになっているとのこと。

また、国の「士業」について、分析結果の説明があった。「技術士事務所」の市場規模というのは士業の中でも大変小さく、政府統計の対象にすらなっていない。市場規模は「経営コンサルタント」が圧倒的に大きいので、大きな市場を狙うなら、ここを目指す必要がある。また、士業のビジネスモデルとして、一人あたりの売上は従業員数を増やすと増えてくる。ただし、従業員数が増えるとリスクも大きくなる。技術士業は一般的に一人か、少ない従業員数で行われており、ローリスクローリターンモデルであると分析できるとのことであった。



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1.日時:6月4日(土)
2.場所:北トピア701室
3.講師:沖津 修氏(化学)、田原 譲氏(金属)
4.出席者(敬称略):沖津、田原、土屋、佐藤、小沼、岡崎、福田、早野、高堂、鶴巻、渡辺国、渡辺英、吉原、大園、芦が原、藁科、澤田、大久保、森田、菅野、小林(記)(全21名)
5.事例紹介:講師と事例
(1)沖津 修氏(化学)


沖津氏は、大学院の化学科を修了後、1991年に製薬会社に入社。40歳で化学部門の技術士を取得し、2008年42歳の時に独立した。
現在の事業内容は「コンサルティング・アドバイス」と「独自技術開発」の2つ。特に後者に力を入れており、マーケットイン型、つまり、お客さんが困っている問題を解決する製品を開発するというスタイルを採っているとのこと。一人では開発できないので、自分がハブになって中小企業を繋いで開発をするそうである。これまでの開発実績は、排水処理剤、液状化防止用硬化剤、放射能除染技術などがあるとのことである。

企業の社長さんと対等につきあうには、独立が必要。そして、信用を得ることが大切で、まともな社長は全人格的に信用できない相手をコンサルに採用することはない、というのが実感だそうである。

独立した時に会社員時代の仕事を「棚卸し」したものの、独立後にそれらが直接役立ったわけではなく、独立して使えるスキルは独立してからでないと身につかないとのこと。
独立自営は自分の考え方や個性が商売道具であり、生命線である。独立の際に先輩技術士に事業性などを見てもらい「ダメ出し」を受けた。そのような耳の痛い話は、自分独自の考えなどを研ぎ澄ます上で必要だとのことであった。




(2)田原 譲氏(金属)


田原氏は会社を定年直前に退職し独立した金属部門の技術士である。1974年に大学の冶金科を卒業後、非破壊検査会社で原発などの検査に従事。1979年に自動車会社に移り、
2009年に独立した。

独立開業当初は、がむしゃらに自分の専門分野の仕事を見つけようとした。開業5年目の頃は、自分にできること、できないことを考えていた。開業8年目の今は、仕事の質の評価、つまり、これでいいか悪いかを考えているとのこと。自営していく上で、自分に何が求められているか、自分に何ができるか、自分は何がしたいかを考えているそうである。

仕事には、人脈、資金、情報力が必要であるが、マインド(気力・熱意)が一番大切とのことである。

これまで、韓国のメーカーへの熱処理関係の技術指導を行ったり、日本のメーカーの技術者に自動化装置がどういう原理・理由で処理をしているのかを教育したりした。また、本の出版や熱処理に関する講演を行っているとのことである。

独立後は、経歴だけで仕事が来ることはなく、誰かが自分を見て仕事を紹介してくれるもの。技術があれば、努力すれば評価されるという考えは放漫であり、人に引っ張ってもらわないと仕事は広がらない。そのためには、信頼と誠実がなによりで、信用を得て裏切らないことが大切とのことである。

これからも、あせらず、慌てず、諦めず、熱意を持って仕事に取り組んでいくとのことである。



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1.日時:5月21日(土)
2.場所:北トピア804室
参加者:15名、組合メンバー8名

北九州や、神戸、岩手からの参加者もありました。
初めて女性の参加者がありました。
「独立自営のススメ」の本も配布され、著者の森田様のサインをしてもらった方もおりました。
講師は、30代から50台前半で独立自営をした方達で、参加者は大いに刺激を受けたようです。



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1.日時:5月7日(土)
2.場所:北トピア808室
3.出席者(敬称略):土屋、佐藤、小沼、平田、井上、外館、井伊、福原、尾内、大野、堀田、武藤、大園、澤田、大久保、森田、菅野、小林(記)(全18名)
4.事例紹介:講師と事例
(1)小沼 明氏(情報工学)

小沼氏は、情報工学部門の技術士である。大学院卒業後、NTTソフトウェア、青年海外協力隊、日立製作所、などを経て、2016年1月、42歳で開業をしている。
それぞれの法人での役割において、多くの人脈を作り、開業後もそれらの人脈からの支援をいただきながら顧客への価値の提供を実施している。
主にISPを中心とした業務支援システム(OSS)の開発において、要件定義などの上流工程はもとより、自身の人脈による開発体制の提供までを実施し、顧客のニーズに柔軟に応えるべく、数多くのステークフォルダを巻き込んだビジネスにチャレンジしている。

昨今では、ひかりコラボレーション、MVNO、電力自由化などのバックオフィス業務をターゲットとして、それらを支えるシステムの開発にも幅広い役割で、携わっている。

特にこれまでの経験から高品質/大規模/短期開発に対して、PJを成功に導くための顧客とパートナの両面のマネージメントを得意としており、
開業後もこれまでの実績から、顧客の引き合いが続いている。現在は大手SIerではなかなか実現が難しかった、高い効率化についても加えた新たな価値を顧客に提供しはじめている。

また、ゆくゆくは自身によるITサービスやライセンスビジネスの提供も計画しているが、まずは7月に複数人による法人化を計画しており、チームとして成長させることで今後も更なる顧客への高い価値の提供にチャレンジする予定である。

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1.日時:4月2日(土)
2.場所:北トピア808室
3.出席者(敬称略):若月、秋元、土屋、佐藤、伏見、小沼、上野、藤井、吉原、澤田、大久保、森田、菅野、小林(記)(全15名)
4.事例紹介:講師と事例
(1)若月 保氏(化学)

若月氏は化学部門の技術士である。会社を定年となり今年3月に技術士事務所を登録して開業したが、会社にもまだ週2日勤務している。
化学プラントが専門であり、昔は原油精製など大型プラントの開発がメインであったが、時代の趨勢とともに今は薬品などの小型プラント装置がメインだそうである。

会社に入って最初の20年は従来からの化学プラントの作り方を経験。海外の現場に長期間行くこともあり、国による文化の違いなども体験した。1998年のアジア通貨危機が転機となり、その後の15年はプラントの構築がシュリンク。コストが厳しくなり廉価な機器を使用してトラブルが発生するなど、苦労したそうである。

プラント作りはプロジェクトエンジニアリングが大切で、「工程」「コスト」「プロジェクト員」をいかに管理して仕事を進めていくかが鍵になるとのこと。
また、顧客も「初めてプラントを作る、見る」という人が多く、解りにくいものを例え話などを駆使していかにお客さんにわかってもらうかで苦労するそうである。さらに、社内の技術者もプラント作りをわかっていない人が多く、社内の説明も必要になるとのことである。

今後は、消えていく技術をどう伝承するか、社会貢献を含めて、どんなことができるかを考えているそうである。



(2)秋元英郎氏(化学)

秋元氏は2010年に独立開業した化学部門の技術士である。
「しっかり食べていくためのノウハウいろいろ」と題し、これから開業しようとしている技術士、あるいは開業してすぐの技術士を対象とした具体的なアドバイスがあった。

1.尖った専門分野を持つ
 400時間の勉強で専門家と言えるレベルに到達でき、専門家のいないニッチ分野ならその分野のトップになれる。
2,有名になる
 学会や雑誌、webやブログなどで情報を大量に発信すると、情報も集まってくる。また、セミナー講師を引き受け、その分野の総論を話す立場になるように努めると、その分野のトップバッターと認められやすくなる。
3,プロとしての本気を見せる
 常にブランディングを心がけ、クライアントに「あの先生に指導を受けているなんて凄い」と思ってもらえるようにする。安売り、値下げをせず「気が乗らない仕事は受けない」くらいのほうが良い。ブランディングできてくると値切られない。
4.起業・独立開業で成功するための力
 「学ぶ力」「継続する力」「発信する力」「弱気な声に勝つ力」「仲間をつくる力」「人を愛する力」「健康」の7つがポイント。

起業・独立のタイミングは、力を出せるときに即行動するのが良い。独立できない理由を家族・景気のせいにしない。そして、「言い訳に満ちた人生より結果を出す人生」が良いのでは、と締めくくった。


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1.日時:3月5日(土)
2.場所:北トピア801室
3.出席者(敬称略):國井、橋立、、松下、小川、福原、前嶋、西川、中野田、伊藤、外館、長野、田中、松田、藤井、吉原、渡辺国、澤田、吉原、大久保、森田、菅野、小林(記)(全22名)
4.事例紹介:講師と事例
(1)國井良昌氏(機械)

國井氏は独立開業して10年になる機械部門の技術士である。大学卒業後大手電機会社に入社したが、家の事情ですぐに辞め、別の事務機器メーカーに入社。54歳で独立した。
技術者としてオリンピックまでに何ができるか。傍観者でいいのかという問題提起があり、「技術者年齢」を算出して2020年までのスケジュールを考える簡単なツールの紹介があった。
独立自営は「年俸」×「業務指名」のような世界で、年俸の取れる仕事ができる能力があっても、指名が来なければ収入にならないとのことである。
独立自営で成功するには目標とする人物を見つけ、その人物をモデリングするのが有効。己を知り他業界に学べば勝てる。例えば「経営コンサルタント」業界の成功例の中に学ぶことがある。
コンサルをする際、その業界のNo.1企業は必ず追い越せると考える。それを目標に決め、目標達成のためにどうすれば勝てるか、と考えて目標に向かうようにしている。
会社員時代に苦労した品質工学が、独立してからコンサルティングの際にクライアントから求められる答えを出すのに役だった。勝つための道具として使っているとのこと。他に、FMEA/FTAやPERT法などを基に比較的に簡単なツールが活用できる。
「経営コンサルタント」業界から学ぶといっても、経営のコンサルタントをやるのは無理であり、そのノウハウを研究して実際には品質のコンサルタントを行っている、ということである。


(2)橋立昭武氏(フェロー)

橋立氏は技術士ではないが、独立して技術コンサルタントを行っているエンジニアである。大学卒業後、工作機械メーカーに入社。50歳過ぎに退社し、そのあと3社で工作機械の開発を行った後に、2008年に独立した。
大学卒業後最初に入った会社では、現在のマシニングセンターの礎となる機械を担当。その後1979年に最初に担当した機械の後継機の開発責任者となった。設計段階からコスト抑制の工夫を凝らした結果ヒット商品となり、現在も販売されている。
2番目の会社では高速主軸の開発を指導。3番目の会社ではマシニングセンターの開発に従事。ここでは会社による文化の違いを痛感。海外生産ということもあり、図面の寸法の書き方一つでも、製造現場の認識の違いなどで苦労した。セラミックスピンドルを世界で初めて使用するなど、最先端の技術を使いスペックの良い機械が出来たが、営業ターゲットと合わなかった。その結果、この技術は埋もれてしまったが、性能はすごく良かったので、もう一回この技術を使いたいと今でも思っているそうである。
4番目の会社ではプレート加工用専用機の開発を指導。このあと2008年に独立。多くの会社とつきあって、日本の会社は性能を追求しがちだが、例えば韓国のメーカーは性能よりもコストを優先するなど、違いがわかった。
会社はコンサルタントよりも完全な雇用を希望するところが多いが、すぐに契約終了となるとダメージが大きい。独立当初、少ない会社に集中して仕事をしたところ、3年程度で契約が終了してしまった。1つのクライアントから多くの報酬をもらうのはリスクであり、少ない報酬でたくさんの会社の顧問をやる方法(例えば、計画図は書くが部品図は書き方を指導するだけで自分では書かないなど)を考え、それを実行した方が良いと痛感したとのことであった。

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1.日時:2月6日(土)
2.場所:北トピア802B室
3.出席者(敬称略):平田、芦ヶ原、岡田、太田、松下、小川、福原、前嶋、鶴巻、廣沢、山本、渡辺国、澤田、渡部英、大久保、川村、森田、菅野、小林(記)(全19名)
4.事例紹介:講師と事例
(1)平田俊明氏(情報工学)

平田氏は情報工学部門の技術士で、大学院を修了後、大手電機会社に就職。現在は、別のソフトウエア会社に勤務している。
電機会社では主に研究所でソフトウエアの研究開発を行った。
最初は、通信制御ソフトウエアの研究開発を行い、
・ホスト計算機の高速切り換え方式などの開発
・既存端末接続プロトコル変換方式の開発
・通信処理サーバーの高速・多回線制御方式
などを経験した。
時代の流れとともに、ネットワーク・システム管理ソフトウエアの研究開発に移り、Webブラウザを用いたネットワーク管理システムを始めとした、今でこそ当たり前になった技術であるが、当時は最も新しいネットワーク管理ソフトの研究開発であった。
その後はストレージシステムのビジネス推進や、製品の評価の仕事に携わった。これは技術開発ではなく、ビジネスをどう展開するかといった管理的な業務がメイン。
これまで、電子通信学会など社外の学会での活動も行ってきた。
技術士を取得したのは昨年3月。開発畑であり技術の仕事をしていきたい。独立も考えたが、技術の仕事ができる今の会社に勤めることとしたそうである。

(2)芦ヶ原治之氏(化学)

芦ヶ原治之さん(化学)
芦ヶ原氏は化学部門の技術士で、独立開業して5年になる。
40歳を過ぎて外資系の会社へ転職したため、英語でえらく苦労した。その体験を基に、初心者向けの英語の本を執筆するに至った。
会社員時代、工場管理をやっている間にエネルギー管理士ほか色々な資格を取った。それが独立してから役立っている。
独立事務所開設の動機は、若い頃、会社が吸収合併するのを経験し、会社の看板を外しても通用する技術者を目指したからである。
独立する際は、自分の専門にこだわりすぎず、少し幅を広げて仕事をして、専門家として通じる領域を増やしていくと良いとのこと。
独立してすぐの東日本大震災後、「緊急節電チャリティセミナー」を企画し、節電のセミナーを行った。その結果、色々なところから、省エネ・節電セミナーの講師として呼ばれるようになったそうである。
また、環境省の「NGO/NPO・企業環境政策提言」に「原発の安全と省エネ技術で世界貢献」をする内容の提言を応募した。その内容が評価され、アジアの低炭素社会実現のためのCO2削減にフォーカスしたプロジェクトに3人の専門家の一人として加わることとなり、ベトナムとマレーシアで現地企業のコンサルタントを行った。そこでの経験から、日本人の武器は思いやりと道徳心が強いことであり、それを基に途上国で信頼が得られているという手応えがあるとのことである。
独立自営の技術士として、エネルギー管理士、EA21審査人の資格や、米国企業勤務経験から英語によるコミュニケーションが可能という強みを活かして仕事につなげたいとのこと。仕事は人の紹介で来ることが多く、25年前の上司から仕事の依頼があったこともあるそうで、人脈を大切にとのアドバイスがあった。


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1.日時:平成28年1月9日(土)
2.場所:北トピア601室
3.出席者(敬称略):高堂、岡、中野田、上野、米森、藤井、平田、吉原、土屋、綾部、佐藤一彦、田口、小沼、内田、渡辺国、西川、澤田、渡部英、大久保、川村、森田、菅野、小林(記)(全24名)
4.事例紹介:講師と事例
(1)川村 智氏(情報)

川村氏は情報工学部門の企業内技術士である。大学は機械工学科を卒業したが、大手電機会社系列のコンピュータ会社に入社し、現在もその会社に勤務している。
入社当初は新幹線運行管理システムを担当する予定だったが、すぐにデータベース部門に異動。SQLアナライザの処理高速化を担当し世界最速を達成した。しかし、当時はリレーショナルデータベースは全く評価されなかった。
その後、ミニコンの業務に携わり、大型コンピュータ全盛だった金融業界にミニコンを提案。その案件でイギリスに赴任した。イギリスでは日本人に対する冷たい目もあったそうだが、とにかくこまめなコミュニケーションでわだかまりを解く努力をしたとのことである。
帰国後は電話通信会社のアラームデータを解析し故障箇所を推定するシステムを担当。阪神淡路大震災時に、開発中だったそのシステムが通信網復旧に大いに活用されるのを体験した。その他、警察の緊急配備システムやヘリコプター映像伝送システムなどの先進システムを担当した。
その後、現在の「クラウドシステム」の先駆けとなる「グリッドクラスタシステム」にチャレンジ。当時は社内外から有効性を疑問視されたが、それを払拭していくため、専門誌への執筆を積極的に行った。その関係で2001年前後に政府関係の会議でコンピュータの未来予想を語ったが、オープンソース化、小型化、携帯化、モバイル化など、当時の予想は、ほぼ現実となった。
技術者・技術士にも「守破離」があり、先輩の教えを守る時期、その経験を基に自分のアイディアを実現していく時期、そしてこれまでに無い新たな技術にチャレンジしていく時期と進歩していくものと感じているそうである。
そして、社内での技術士の立場は、「研究所(博士)が開発した技術を技術士が製品化」していくとのことであった。


(2)内田守彦氏(機械)


内田氏は48歳で独立開業した機械部門の技術士である。機械工学専攻の大学院を修了した後、カーオーディオメーカーに就職。車載用AV機器の、主に量産化技術の仕事に従事した。部長職も勤め、その経験が企業をマーケティング、経営思考で判断することや、ISOの審査にも役立っているとのことである。
独立した理由は、「サラリーマンとしての生き方がわかったと感じた」(社長にならない限り、重役や副社長でも上位者の指示や価値観などが優先される)こと、「サラリーマンに飽きた」こと、「会社にいることが人生の無駄時間と考えるようになった」(部長になって楽して給料をもらうのになれ、堕落したと感じた)ことだそうである。他メーカーに誘われもしたが、そこに転職するなら独立しようと思ったとのこと。
独立後、ISO審査員、埼玉県技術アドバイザー、プラスチック射出成形技能士(特級)などの資格等を取得。名刺に入れていると信頼されるメリットがあるそうである。
独立してやっていけている人を見ると、「専門家として特別な能力がある」「前職での知り合いや関連機関と関係を作れている」「自信家である」のいずれかの特徴があると分析をしている。また、『芸風』として「プレーヤー」タイプが圧倒的に多いが間口が狭くなりがちで、問題解決の仕組みを作れる「プロデューサー」タイプの方が間口の広い仕事ができるようである。
仕事が入るのは人からの紹介がほとんど。独立自営は収入がゼロになる恐怖がいつもあるので、顧客は多面的に持っていたほうが良い。そして、独立開業には、先輩をよく見て、うまくやれている人の理由を自分で良く分析することとのアドバイスがあった。
自身の海外経験で、ドイツ系の会社はドイツ以外でも管理状況が抜群だったとのこと。一方、日本人の美意識は強みになるものと感じているそうである。その日本人の強みを活かせる技術として、ナノインプリントなどの微細加工の技術開拓を目指したいとのことである。


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1.日時:12月5日(土)
2.場所:北トピア802B室
3.出席者(敬称略):坂東、大島、秋元、廣沢、高橋、加賀、平田、吉原、外館、安藤、渡辺国、西川、澤田、渡部英、前嶋、大久保、川村、森田、菅野、小林(記)(全20名)
4.事例紹介:講師と事例
(1)坂東大輔氏(情報工学)

坂東氏は今年4月に独立開業した情報工学部門の技術士である。大学は文系の学部を卒業したが、社会人になってフルタイムで働きながら理系の大学院に入学し、理系の修士取った。文系と理系の両方を卒業・修了した経歴の持ち主である。

大学時代は文系学部であったが、「オンラインソフト」のプログラマとして活躍。作成したソフトはインターネットのソフトウエアサイトで好評を得て、多くのユーザーを獲得した。

大学卒業後、大手電気メーカー系列のソフトウエア会社に就職。ソフトウエアの開発に従事した。また、独学で英語を学び、その英語力を活かして、ソフトウエアのローカライズ(英語版のソフトの日本語化)なども手掛けた。

2011年に技術士を取得。得意の英語を活かして技術士としてASEAN国際技術者会議に参加。また、技術士会の「IT21の会」の会長も務めた。また、技術士の他、通訳案内士、英検1級など、多くの資格も取得した。

会社に12年勤めたあと、脱サラに挑戦。ITベンチャー企業の役員(CTO)になった。さらに1年後、級友から技術支援をして欲しいとの要請を受け、悩んだあげく、ITベンチャーの役員を辞め、技術士として独立することとし、今年の4月に開業した。

開業後は、顧客先企業にITソリューションを導入するほか、業界紙に記事を書いたり、国内外での公演活動や、高校生に課外授業で技術士の仕事を伝える活動もした。
今後、電子書籍の出版や、中小企業への「一口CTOサービス」など新たなサービスの立ち上げ、情報技術の新たな活用方法の提案(「人生の仮想化、クラウド化」など)に関する論文発表など、多くのアイディアがあるそうである。

名刺には自らを「Engineering SAMURAI」と標記しており、海外でこのように自己紹介すると大変反応が良いそうである。これからも、技術士は「Engineering SAMURAI」であるとの考えで活動していきたいとのことである。


(2)大島正氏(機械)

大島氏は独立開業している機械部門の技術士である。大学院修了後、大手電機メーカーに就職。入社当初は圧力センサーなどの製品、技術開発に従事した。その後、品質改善の仕事に携わり、特に、設計段階での品質改善の仕事を多く経験した。また、この業務の時に海外とも仕事を多くした。
その後、技術士を取得した後は、総務職としてあちこちの会社へ出向して交渉業務などを経験した。その経験が現在の仕事に活きているとのことである。

開業に向けて参考とした本として、本多静六氏の著作の紹介があった。また、開業には技術士の先輩から学ぶことが多く、人生のロールモデルとして、生き方、技術分野、仕事の仕方などを学んだそうである。もちろん、中には反面教師となる先輩もいるので、その見極めも必要とのことである。

技術士として自分の強み(得意技)を活かすことが必要であり、ビジネスとして成功するためには、「顧客は誰か」を考え、「その顧客に対してより高い満足を与えるにはどうしたらよいか」を常に考える必要があるとのことである。その上で、個人業である技術士ビジネスは、正規軍(大企業)と正面から戦ったら勝てないので、ゲリラ戦を展開すると良いとの考えである。

現在、鑑定を中心とした仕事をしており、顧客は保険会社や弁護士で必ずしも技術に詳しくないので、技術士として体系的な考え方と知識を武器に、根拠を示して技術的な内容をわかりやすく説明することが必要だそうである。また、鑑定の仕事は真剣勝負であり、例えば裁判の場に臨んだ場合、負けると裁判記録にどのような経緯で負けたかが実名入りで残ってしまうリスクがあるそうである。そのため、科学的に無理があったら、仕事を断ることも必要とのことである。この鑑定の仕事を一緒にする仲間を募集中とのことである。

かつて技術士の大先輩からもらった言葉は「常に隣の分野に挑戦しなさい」「技術士の仕事を安売りするな」。この教えに従ったこれからも仕事をしていきたいとのことであった。


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1.日時:11月7日(土)
2.場所:北トピア802B室
3.出席者(敬称略):井上、安田、中川、土屋、平田、吉原、外館、安藤、渡辺国、西川、中野田、澤田、渡部英、鶴巻、前嶋、大久保、上野、大島、川村、森田、菅野、小林(記)(全21名)
4.事例紹介:講師と事例
(1)井上里志氏(衛生工学)

井上氏は衛生工学部門の技術士で、大手エンジニアリング会社を退職後、大学(大学院)で経営マネージメントを教えている。
会社員時代は、廃棄物の焼却溶融システム(焼却後の灰を溶かして処理する装置)の開発など、純理系の開発の業務をしていた。
その経験から新製品開発の手法の体系を考えだし、それをわかりやすく理系の学生に教えると、学生は大変興味を持つとのことである。その講義の後で技術を活用した新規ビジネスのプレゼンテーションを学生にさせると、大変独創的なアイティアガ出てくるとのことで、一例として「センサー技術を応用したメイクアップの在宅学習ビジネスの提案」が紹介された。
新規開発の恐ろしさは、開発が進むほど「失敗でした」と言えなくなることであり、そのリスクを防ぐステージゲート法の紹介があった。こうした開発手法とともに、財務会計も理系向けにわかりやすく学生に教えているとのことである。
このようなことを理系の大学院生に教えようと思ったのは、これまでの技術者としての経験と、中小企業診断士のテキストを見たときに、理系の学生が技術だけでなくマネージメントや財務も知っていたら鬼に金棒であると思ったからだそうである。




(2)安田 晃氏(情報工学、電気電子)

安田氏は情報工学部門他の技術士で、大手電器メーカーに防犯カメラ等のセキュリティを専門とした技術者として勤めていた。会社では、防災システム等の物理的なセキュリティと、通信ネットワーク等のソフトウエアのセキュリティの両方に携わったそうである。
会社を退職後は、総務省や内閣府等でセキュリティ専門の補佐官(CIO補佐官)を務めた。また、国の災害情報システムも担当したそうである。
現代ではネットワーク上のサイバー攻撃が国家間の戦争の様相を呈しており、各国の政府機関のコンピュータへ他国から攻撃が行われているらしいとのこと。そこから得た相手国の情報を基に、例えば、相手国の通信衛星を使用不能とすれば、相手国の物理的な軍事行動を大混乱に陥れることができ、ネットワーク上のことでは済まされないそうである。
今やインターネット等に繋がっていないはずの制御機器(インフラ用の設備)や組み込みシステムも攻撃を受けている事例があるそうである。例えば自動車の制御システムなども攻撃の対象となっており、攻撃を受ければ大変危険な結果が想定されるとのことである。
これだけ大きな問題があると言うことは、セキュリティのマーケットも大きい。技術士は自分の専門を活かして、セキュリティの世界の先読みをすればビジネスも広がる可能性があるとのことで、30年前に特許を取得した「顔写真データ内蔵のICカード」が近年活用され始めたという自身の例が紹介された。



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1.日時:10月3日(土)
2.場所:北トピア802B室
3.出席者(敬称略):永田、外館、安藤、茂木、岩瀬、中野田、澤田、渡部英、鶴巻、前嶋、大久保、上野、大島、室橋、川村、佐々木、森田、菅野、小林(記)(全20名)
4.事例紹介:講師と事例
(1)前嶋満氏(電気電子)

前島氏は2011年の試験に合格した電気電子部門の技術士で、現在も情報通信機器メーカーに勤務している。
1985年に入社以来、主にコンピュータの情報ストレージ装置の開発業務に携わってきた。
テープライブラリー装置、光磁気ディスクライブラリー装置、磁気テープライブラリー装置、磁気ディスクアレイ装置などの開発を行ってきたが、デジタル機器であっても高周波技術などのアナログ回路技術が大切であることがわかった。
光磁気ディスクライブラリー装置の開発の際、高信頼性化について自身の考えを盛り込むなどアナログ回路設計に自信を持つことができたそうである。しかしながら、そのアナログ回路の技術を引き継ぐ次世代の技術者がいないのが悩みとのことであった。
技術士の資格取得の勉強に関連して、他にも様々な技術系資格を取得したそうである。
独立に向け、研修会等にも参加したが、何をやったらいいのかまだ良くわからないことのことである。


(2)室橋雅彦氏(経営工学))

室橋氏は2001年3月に登録した経営工学の技術士である。
電気機器メーカーに勤務しており、これまで、電波機器システムの仕事に20年、半導体製品の新製品企画の仕事に15年携わってきた。その間、業界団体の技術コンソーシアムの活動も10年ほど行い、その団体に加盟している会社に技術規格を遵守させるなどのコンプライアンスを担当した。
専門はプロジェクトマネージメントで、最近は「Resilience」に関心がある。「Resilience」とは『しなって戻ってくる』というような概念で、人間でいえば、ストレスに対してくじけないためのメンタル的な対応方法などであり、経営であれば、想定外の事態からどうやって元に戻すか、ということである。特に、組織にとって何を指標に「Resilience」を評価するのか考えている。
日本技術士会の経営工学部会WGの活動として東日本大震災被災地支援を行っている。主な活動は、被災地での起業家支援、中小企業経営支援、新規事業支援で、岩手県と手を組み企業支援セミナーを行ったり、大学で地域中小企業向け活動の支援を行ったりしている。
経営工学部会では、2050年にどんな社会にすべきかという提言を基に、被災地地域中小企業向けに管理技術全般を支援する活動を進めているとのことであった。


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1.日時:9月5日(土)
2.場所:北トピア802A室
3.出席者(敬称略):、高堂、大久保、上野、斉藤、平田、武石、石川、綾部、安藤、森田、菅野、小林(記)(全19名)
4.事例紹介:講師と事例
(1)石丸顕二氏(情報)

石丸顕二さん

石丸氏は四十台の情報工学部門の若手技術士で、大手ゲームメーカなど経て数年前に独立自営した。
技術士協同組合会員の上野氏から紹介された「デジタル技術検定試験対策講座」の講師を行った。
この講座は技術者派遣会社の社内教育向けで、約50名の受講者とオンライン受講者数百名が受講した。
7月に講座を実施したが、その直前に講師の石丸氏自身が受験し、この経験を交えて講義を行った。
講師の謝礼は技術士の1日分程度を請求したが、100ページの講義資料を作って、8時間の講義を実施したのは安すぎるとの意見が出た。
他の講演謝金の事例が出席者からでて、資料作成費等を別途請求すべきとのことであった。
今後も同様の研修講師の依頼が期待できるが、専門分野が違うと組合の他のメンバーに紹介してこの事業を継続していくとのことであった。

(2)中川弘之氏(電気電子)

中川弘之氏さん

中川氏は1983年に大学を卒業して大手非鉄金属製造会社に入社し、
その後1988年に大手電子部品メーカに転職して現在に至っている。
電子部品メーカでは電子部品の実装ライン用コンピュータシステム開発や、画像処理を経験し、技術士1次試験や第1種情報処理技術者、エネルギー管理士などの資格を取得した。
その後内部メカトロニクス事業関連の製造設備システム開発や社内工場の省エネ担当等を経験し、この間に技術士2次試験や労働安全コンサルタントの資格を取得した。
現在55歳で、来春には独立自営の予定である。

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1.日時:8月1日(土)
2.場所:北トピア803室
3.出席者(敬称略):大島、梶、田口、澤田、中川、渡部国、渡部英、川村、濁川、吉原、曽我、鶴巻、外館、前嶋、野尻、岸、佐藤、森田、菅野、小林(記)(全20名)
4.事例紹介:講師と事例
(1)梶 克広氏(機械)

梶 克広さん
梶氏は機械部門の技術士で、会社在職中に技術士事務所を立ち上げ、会社を退職後、技術士を独立自営で続けている。
1974年に造船・重工メーカーに入社したものの、翌年に原子力部門に異動となり、以後、原子力関係の仕事の他、液晶基盤、薄膜太陽電池、高炉内壁検査装置など多彩な業務に携わった。

独立自営後は、主に中小企業への専門技術指導を続けている。専門技術指導を行うには、指導する中小企業のコア技術をしのぐ専門技術または経験が必要とのことである。
色々な資格も取得しているが、資格自体は直接役立たない。ただし、資格を取っているという自信が役立っているそうである。

また、ベンチャー企業支援では、開発している技術そのものに対して技術指導するのは難しく、また、それは必ずしも望まれていない。むしろ、開発している技術が既存の技術に対してどんな優位性があるのか、技術の方向性の指針を与えるような指導が求められるとのことである。

その他、英語が得意という特技を活かし、外為令に基づく手続きの仕事や、海外進出を図っている企業の設立運営支援なども行っている。
技術士協同組合ではセキュリティロボット研究会で「養魚場に来襲する川鵜を追い払うロボット」の開発をテーマに活動を行っており、最近ではドローンの応用などを考えているとのことであった。

(2)濁川義和氏(機械)

濁川義和氏さん
濁川氏は大学院の機械工学専攻を終了後、総合機械・プラントメーカーに入社した。現在も会社に勤める機械部門の技術士である。

入社当時、粉体の仕事がしたいという希望が通り、洗剤用汚れ分解酵素のプラントの設計などの仕事に携わった。その後の異動で、お客さんと直接やりとりしながら要求仕様を決めていくような工程の仕事も担当した。
その後、医薬産業プラントの担当になった年に所属している部門が事業譲渡された。そのまま新しい会社に移り、医薬品製造プラントの仕事に携わっている。

プラントの業務に関連して、危険物の資格の他、関連する資格を次々と取得し、技術士も機械部門で取得した。
現在53歳ですぐに独立する予定はないが、今やっている仕事の中で、独立のための知識も身につけていきたいとのことであった。

質疑応答で、「医薬産業プラントで伸びそうな分野は?」という質問があり、現在「ディスポーザル」という方法の提案に力を入れているが、輸入品しかないため、国内で作れればいいと思っているとのことである。

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1.日時:7月4日(土)
2.場所:北トピア803室
3.出席者(敬称略):伊藤、福原、澤田、中川、渡部国、渡部英、川村、上野、吉原、土屋、西川、森田、大久保、菅野、小林(記)(全15名)
4.事例紹介:講師と事例
(1)伊藤寛氏(機械)

伊藤氏は大手石油化学会社に入社し、即自ら希望して子会社のエンジニアリング会社に出向した。1998年に技術士(機械部門)を取得し、その後、総合技術管理部門も取得したが、まだ会社勤務の技術士である。
社会人になったときから、人のやらない仕事に取り組み、液体、油脂化学製品の多品種生産プラントで、Blending IndustryのFMS化に早期から取り組んだり、カプセル式潜熱蓄熱システムの技術導入を行った。ランドマークタワー(横浜)に導入した蓄熱システムは、20年たった今でも世界最大級の規模とのことである。

これまで国内外で多くの技術コンサルタントと仕事をしてきた経験から、うまくいく技術コンサルタントは、「コア技術+マネージメント能力がある」「顧客の弱点をカバーする知識・経験に加え自ら仕事を処理する能力がある」「自分のやること、顧客の期待をわきまえている」「気持ちが若く、常に前向きの人生を送っている」といった特徴があるとのことである。

一方、独立してもうまくいかない技術コンサルタントは、「会社勤めの延長線で自分の能力を過大評価している」「コアになる技術とその監理能力を持っていない」「顧客の値ごろ感、自分の価値に対する正当な自己評価を持っていない」「リスク管理能力がない」「徒弟関係に無関心」「マニュアル至上主義」といった人であったそうである。

今、一番興味のあることは、プロジェクトマネージメントの中での技術コンサルタントの役割で、ものを作る際、発注者と受注者の役割や情報の分類共有の方法などが整理されていないと感じることが多いので、このあたりに技術士の活躍の場があるのではないかとのことである。自身も来年定年なので、このあたりの仕事で技術士として活躍したいとのことであった。


(2)澤田雅之氏(電気電子)

澤井氏は大学院卒業後、警察庁の情報通信部門の技術者として、顔識別技術の研究と情報通信システムの発注者エンジニアリング業務に35年間従事した。2013年に退職後、民間会社を経て、2015年に技術士(電気電子部門)を取得、独立した。

「顔識別技術と監視カメラのコーディネイト」と「通信情報システムの発注者エンジニアリング」がライフワークであり、独立後は積極的に講演活動を行うことで、この分野の市場開拓を行っている。また、顔識別技術に関する特許出願や学会活動も行っている。

技術士協同組合のセキュリティロボット研究会、監視ロボット研究会で、人の目では見つけられないものを自動的に見つけるという観点から、夜間に飛来する「ドローン」の検知と撃退について取り組みたいとのことである。これまでの調査の成果として、英国、米国、そして日本製のドローン検知・追跡妨害システムの紹介と説明があった。

ドローンの検知、撃退は、今後、重要施設の警備上、大変重要な要素となるであろうとのことで、これまでの業務の経験を基に、来年の「伊勢志摩サミット」警備について、ドローン対策を含めた提言を行ったとの報告があった。

独立して4ヶ月なので今は「種まき」の時期で、まずは講演や学会活動、ホームページ等でアピールしていき、結果的にそれが仕事につながればと考えているとのことであった。


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1.日時:6月6日(土)
2.場所:北トピア804室
3.出席者(敬称略):田口、松井、濁川、福原、澤田、中川、中山、奥谷、米森、鶴巻、榊、井上、渡部国、川村、高堂、森田、大久保、菅野、小林(記)(全19名)
4.事例紹介:講師と事例
(1)田口宏之氏(機械

田口氏は機械部門の技術士で、住宅設備機器メーカーに勤務後、今年4月に30歳台で独立開業した。独立した理由は、自分の仕事を自分で決めたかったことと、会社にいるメリットがデメリットを下回ってきたと感じたからだそうである。

大企業では革新的な製品を生み出す能力が低下し、設計の仕組みが劣化していると感じている。一方、中小企業は大企業の下請けでは生き残れず、大企業とバッティングしない市場、大企業が参入できない破壊的イノベーションのある市場で活躍可能である。中小企業をそのような市場で活躍できるようにするコンサルタントを行っていきたいとのことである。

開業後の活動として、ホームページを立ち上げた。今後、公的機関への訪問や各種研究会などへの参加、技術士会等の会合を通じ、仕事の機会を広げていきたいとのことであった。



若くしての独立に、他の参加者からも応援の言葉が送られた。

(2))松井武久氏(機械)

松井氏は大手化学会社に勤務後、2009年に独立した機械部門の技術士である。吉田松陰の教えに従い、生涯現役をモットーとし、技術に関するボランティア活動も続けている。ボランティア活動の中心は、JTTAS(日本工業技術振興協会)での活動であり、そのなかで、J-SCOREを設立。その活動の紹介があった。

ボランティアとコンサルタントの連携について説明があり、企業が赤字のうちはコンサルをしてもボランティアでお金は取らず、コンサルによって儲かるようになったらそこからフィーをもらう、成果主義を採っているとのことであった。

また、リスクマネージメントについて、「高齢化社会への変化」はリスクであるが、その変化をうまく利用すれば利益にもなる、その不確実さをチャンスにしていくことがマネージメントであるという考え方の説明があった。

自身のコンサルタントとしての仕事は、国内と海外の半々とのことだが、日本が利益を出している高度な技術は海外に出さないという対応をしているそうで、環境関係の技術移転支援がほとんどとのことであった。海外支援の仕事は日本と常識や勝手が違うことが多いが、相手の姿勢の違いを知って仕事をすることが海外の仕事をする上でのリスクマネージメントとのことであった。


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1.日時:5月2日(土)
2.場所:北トピア803室
3.出席者(敬称略):上野、濁川、福原、澤田、中川、清水、石丸、米森、鶴巻、前嶋、石川、曽我、、高堂、森田、大久保、菅野、小林(記)(全16名)
4.事例紹介:講師と事例
(1)曽我正美氏(資源工学)

曽我氏は大学を卒業後、大手石油会社を経て独立した資源工学部門の技術士である。
世界・日本のエネルギーに関する大変興味深い話を講演いただいた。

(2)石川明彦氏(電気電子)


石川氏は大手電気メーカーを55歳で早期退職し、電子部品輸入商社に2年余り勤めたあと独立した電気電子部門の技術士である。

メーカー勤務時代はコンピュータ及び周辺機器の設計を行っており、会社を辞めた際、とにかく資格を取ろうと、情報関係と英語に関する資格を取った。セキュリティの資格であるISMSが、コンサルタント契約に結びついた。

仕事は、何かの会合で出会った人など、人から紹介してもらうことが多いとの。技術士協同組合の関係では「技術フォーラム」に参加し、役所の監査の仕事を行った。

55歳で会社を辞める際、家もあり子供も独立していて、夫婦二人なら何とかなると思い、独立すれば定年がないので、短期的には収入が減っても長く仕事が続けられると家族を説得したそうである。

会社を辞めて15年経ち、今年70歳となるので「第二の引退」をし、仕事から遊び中心にシフトした。ISMSコンサルタントも仕事が減ったこともあり2010年に辞めており、技術フォーラムも今年退会した。今は高校の非常勤講師と不定期の通信添削の仕事のみにしている。今後、ハイキングなどで体を鍛えつつ、ボケないよう頭も使いたい。10年余りやっているドイツ語の勉強を続けるとのことである。



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1.日時:4月4日(土)
2.場所:北トピア801室
3.出席者(敬称略):渡辺英、高橋、上野、濁川、八文字、田口、尾崎、川村、森、松田、吉原、福原、渡部、澤田、西川、高堂、森田、大久保、菅野、小林(記)(全20名)
4.事例紹介:講師と事例
(1)福原 稔氏(機械)

福原氏は大学の電気工学科を卒業後、ポンプ会社に勤める機械部門の技術士である。まだ会社員であるが、あと数年で定年となる。再雇用も可能だが、技術士として独立の道も考えているとのことである。

会社ではこれまで主に5つの業務を経験している。
入社当時は、水中ポンプの開発に従事。その後、多管貫流ボイラの設計を行った。低NOxのボイラを開発するため、ガス焚のボイラの設計に取り組んだ。
その後、循環流動床ボイラの移設事業に従事した。この仕事では、中国、インドネシア、フィリピンなどの海外へ行った。このうち、中国では石炭利用技術の転移に関する仕事をしたが、先方のスコープが決まらず、また、先方と日本側で目指すところに差があり、交渉が長引いて苦労したとのことである。

次に担当した仕事は、下水汚泥焼却炉の設計、施工で、800度程度の燃焼排ガスを集じん装置が動作可能な200度程度まで下げる必要があり、その熱を他に利用するものだそうである。

その後、現在までボイラの給水ポンプ等を作る工場で調達の仕事に携わっている。最近は顧客の要求が高度になり仕様決定に時間がかかるようになったため、組み立て等の工程が圧迫混乱して納期遅れ等が発生し、収益力が低下するという状況があるそうで、購買力を向上して工程の混乱を防ぎ、収益力を改善するという業務を行っているそうである。

技術士としては、「工場・オフィス等の省エネ推進」「省エネ機器の海外移設」「未利用エネルギー(低温排水からの熱回収など)を利用する機器の促進」などをテーマにしたいとのことで、人間関係を構築し、積極的に勉強会などにも出席したいとのことであった。



(2)森 豊氏(機械)

森氏はポンプ会社に30年余り勤務した後、2008年に独立開業した機械部門の技術士である。

会社員時代の仕事では、人工降雪機の開発設計を行い、噴霧した水が雪にならずに水のまま地面に達して、雪ではなく氷になるなどの失敗を克服した。また、発電システムの開発では、「カリーナサイクル」(水アンモニア混合媒体を使用した高効率発電システム)に取り組んだが当時は実用にならず開発が中止となるという経験をした。しかし、この技術は現在では再度注目されており、この技術で工学博士も取得した。

独立に際しては、多くの先輩から意見を聞こうと考え、100枚の名刺を集めるという目標を立て技術士の先輩方に会い、ほぼ、100人から意見を聞いた。また、独立に当たっての事業計画書の作成は大切で、目的、捨てられるもの・捨てられないものをはっきりとさせ、具体的な目標(業務内容や収入など)を立てて、それを毎年見直していくのが重要とのことである。

独立してからの仕事のきっかけは、セミナー、講演会等で名刺交換したことがきっかけとなったり、知り合いや口コミで紹介されたものが多く、他にホームページから依頼が来たものもあるそうである。

独立後、仕事が軌道に乗るには3〜5年の助走期間が必要で、体力、やる気を考えると、経験的には独立は定年を待たず早いほうが良いと感じてる。資格は独立に役立つが、それだけでは食えない。他に役だったこと、必要なことは、オンリーワンの技術、良質な人脈、家族の協力、英語、若い人とのつきあい、信用・人格だそうである。また、技術については、自分では気づいていない思わぬところに、自分の技術のニーズがあるとのことである。

独立自営では仕事量(売上)は月ごとにバラバラであるので、ベースの収入を確保しつつ、プラスアルファの収入が得られるよう営業すると良いとのアドバイスがあった。

今後の希望・夢は、人生の目標を、30歳までは自分のため、60歳までは会社・家族のため、それ以上は社会のためと捉え、自分の事務所を、例えば老舗の菓子司のように「100年」続けられるようにしたいそうである。


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1.日時:3月7日(土)
2.場所:北トピア9階第2和室
3.出席者(敬称略):渡辺英、鶴巻、上野、綾部、中川、吉田昇、森、土屋、原野、石丸、吉原、福原、渡部、澤田、西川、米森、森田、大久保、菅野、小林(記)(全20名)
4.事例紹介:講師と事例
(1)渡部利範氏(電気電子)

渡部氏は電気製品の安全性、品質、信頼性に関する技術を専門とする電気電子部門の技術士である。2007年に大手電気メーカーを早期退職して技術士事務所を開設、翌年に(株)テクノクオリティーを設立し起業した。
若い頃より起業を考えていたが、独立の大きなきっかけは技術士試験に合格したこと。試験に受かったときは本当に感動したとのことである。

会社員時代のメインの仕事は製品の安全性であった。製品を世界中に出荷していたため、世界中のコンセントの雷サージなどのデータが必要となり、18カ国40都市で電源品質の測定をした。貴重な実測データが取得でき、これをまとめて学位を取った。今でも色々な会社から問い合わせがある。

起業に大切なのは、1.起業の思いを明確にする。2.何の技で起業するかを決めたらブレない。3.起業時期のターニングポイントをしっかり捉える。という点である。渡辺氏の独立の目的は、1.団塊の世代の経験を次の世代に伝える。2.「渡辺商店」(自分と家族の会社)を作りたかった。ということだそうである。起業後、一人で事業を継続させるためには、専門知識を磨く他に、毎朝やる気を出すための心構え、そして、よい顧客を獲得するための工夫が必要とのことである。

現在の仕事は、知人の電子部品メーカーのビジネス支援を中心に、日本能率協会のセミナー講師、そして自分の家族の起業支援をしている。ビジネス支援では「世界一のブランドを確立したい」、セミナー講師では「技術、経験、知恵を伝えたい」、家族の企業支援では「家族はいつも心ひとつ」という思いがあるそうである。

独立して生活が変わると、3〜4年で病気になる人が多いので気を付ける必要がある。何より健康が大切とのことであった。


(2)原野邦充氏(農業)
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原野氏は昨年の6月に定年になり、勤めていた会社に再雇用で勤めている。20年前に農業部門で技術士を取ったときから独立したかったが、子供ができたりして家族の反対もあり、サラリーマンを続けたそうである。

大学は農学部で農業経済(開発経済学)が専門。インドの茶農園の研究をした。農機メーカーに勤めた後、海外青年協力隊に行き、帰国後、メーカーで農薬散布機の開発に携わり、自ら営業もした。

会社を移った後、農薬の開発や動物用医薬品の業務などを行ない、その後、熱帯性感染症を防ぐためのベクターコントロール(疾病媒介動物対策)の仕事として、「カヤ」の仕事の部門で働いた。海外での仕事が大変多かったそうである。

海外での活動の様子の紹介があり、バングラデシュでは、手で汲んでいた水を動力で汲み上げる灌漑ポンプの技術指導の様子が紹介された。安価で作れるよう竹製の風車を使ったポンプなどを開発した。
カザフスタン・ウズベキスタンでは、大発生したバッタを防除する際、従来の毒性の強い農薬の使用をやめ、散布技術を向上させて毒性が少ない農薬を少ない散布量で防除効果を高める仕事をした。この技術で技術士を取得したそうである。
ベトナムのメコンデルタでは殺虫剤と新たに開発した粒子を細かくする散布機を持ち込んでの蚊の防除、エチオピア、タンザニアではポリエチレンの樹脂に殺虫剤を織り込んだカヤの製造などが紹介された。

あと数年で会社との契約も切れるため、その際に独立開業したいとのことであった。

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1.日時:2月7日(土)
2.場所:北トピア801会議室
3.出席者(敬称略):土屋、原野、木村、石丸、根本、吉田、吉原、曽我、斉藤、福原、川村、渡部、澤田、西川、米森、森田、大久保、菅野、小林(記)(全19名)
4.事例紹介:講師と事例
(1)土屋 和氏(農業)

土屋氏は2009年に登録した農業部門の技術士で、現在は公益法人に勤務している。専門は施設園芸で、この分野の技術士は10数名しかしないそうである。
以前在籍していた会社では、エアコンで温度湿度管理した屋内で人工光(蛍光灯)を与えてトマトの苗を育てるシステムの開発、検証などを行った。他にも、産学官共同のプロジェクトなどに携わることが多く、プロジェクトリーダーを勤めることも多かったそうである。
その後、在籍していた会社の事業譲渡に伴って会社を移り、大学と連携し植物工場実証実験の運営などを行った。これは大変人気の高い施設で見学者も多く、訪問者への説明や植物工場のPRなども担当し、技術者というよりもPRマンのような仕事であった。
現在の公益法人では、いろいろな植物工場への技術支援を行っているとのことである。
施設園芸は、これまで、どうやって作るかということが中心であったが、これからは、消費者が求める味や品質の作物を作ることができるか、という品質の問題が中心になるとのことである。そのためには、メーカーなどで行われている生産管理やQCの手法を取り入れていきたいと考え、今後に向け、人材教育、マニュアル作り、トレーニングなどの支援に取り組んでいるとのことである。
ご自身は、今すぐ独立しようということではないとのことであるが、現在の業務の中から、次の仕事につながることを見つけていきたいとのことであった。


(2)吉田健二氏(電気電子)

吉田氏は1996年に資格を取得した電気電子部門の技術士で、技術コンサルタントとして独立開業している。これまで、海外で、主にプラント制御やロボットに関する仕事を行ってきたそうである。
フィジーでの職業訓練、ガーナでのロボットに関する指導の様子が紹介された。また、先月はインドネシアで電子制御を指導する現地の先生に対して、訓練方法などを指導したとのことで、動画を交えてその紹介があった。
海外の仕事はJICA関係のものが多いとのことで、JICAの仕事の現状が説明された。
また、海外の仕事では、仕事の内容以上に友好が大切とのこと。現地での生活の様子や仕事以外の観光の話題も報告された。また、海外に仕事に行く際に持っていくと便利なものなども実体験を交えて紹介があった。
JICA等で海外の仕事を得るためには実績が大切とのこと。ボランティアで海外へ行ってもお金にならないと思われるが、その経験が実績となって、次の仕事につながっていくとのことであった。


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1.日時:1月10日(土
2.場所:北トピア801会議室
3.出席者(敬称略):野口、上野、竹田、原野、中山、関、高堂、澤田、西川、鶴巻、米森、石丸、曽我、渡辺英、森田、大久保、菅野、吉原、小林(記)(全19名)
4.事例紹介:講師と事例
(1)鶴巻広一氏(建設)

鶴巻氏は河川構造物を中心とした土木が専門の技術士である。大学院修了後、ゼネコンでの施工管理の仕事を経て、現在は、建設コンサルタント会社で河川工作物の維持管理計画や設計の業務に従事しており、今年の夏に独立を計画しているとのことである。
ゼネコン時代は道路やトンネルの施工管理がメインの仕事で、80年代後半に推進工法による長距離トンネルの施工例などの紹介があった。
その後の設計コンサル会社では、河川構造物のうち排水機場などの土木、機械、電気などの複合設備を得意とし、国土交通省の表彰例などの紹介があった。
これまでの代表作として、排水機場の詳細設計と耐震性能照査、河川の堰の改良詳細設計、地震で被災した堰の復旧計画、被災要因解析などの例の紹介があった。いずれも前例に囚われず、新しい技術やより技術的に適切なアイディアを盛り込んだ事例であった。
ゼネコンとコンサル会社を経験し、設計と施工の両方が分かることを活かし、独立後は、地方自治体や新たな仕事に進出しようとしている建設コンサルタント会社などを想定して顧客開拓をして行く予定と、力強く抱負を語った。

(2)関 貴司氏(建設)

関氏は「鉄の橋」を専門とする建設部門の技術士で、8年前に独立開業した。
大学卒業後、サラリーマン時代は鉄鋼の橋に関する仕事に従事してきた。橋の極意は「重厚長大」と習い、最初に担当した四国の連絡橋の仕事でも、そのスケールの大きさに魅せられ、橋は大きい方が良いと思ったとのことである。しかし、その後の経験で、いくら固いものを作っても、自然の力でいつかは壊れてしまうものだということが分かってきた。
今では、橋は大きい方が良いという考えは間違っているかもしれないと思い直したとのことで、最近は、使うだけ使ったら、簡単に壊せる、という考えで施設を作っているとのことであった。
サラリーマン時代も専門の仕事だけでなく、蒸気機関車をレストアして展示物にする仕事や、大きな邸宅の大規模な可動式鉄製門扉を作るなど、自ら工場や現場で陣頭指揮をとる仕事もしてきたそうである。
土木に関する技術の伝承のため、大学で学生を教える活動もしており、3次元の物体を実際に学生に作らせる授業をして、紙には書けない土木工学の考え方などを伝えている。
また、趣味で2輪、4輪のレースをしているとのこと。ドライバーからチーム監督の立場になると、ポリシーをみんなで作ってフォーマット化し、フローを流すことがいかに大切か、やってみないと解らないこともあると感じたそうである。


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日本技術士会登録グループ 新規開業技術士支援研究会活動内容

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日本技術士会登録グループ 新規開業技術士支援研究会

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