「事故調査・技術評価の会」のご紹介(2007年10月)


T.事故調査・技術評価の会
技術士協同組合では、「事故調査・技術評価の会」が活動をしております。
電気、機械、情報、金属、化学、建設等の各部門の技術士が、
1.事故の発生原因の究明
2.技術開発・紛争等に関わる技術調査
3.投資案件に関わる技術評価、計画立案
についてご依頼を受け、業務を行っております。

技術士は、高度の技術と守秘義務を課せられた高い倫理性を併せ持つ国家資格者です。
公共の福祉、健康及び安全の維持・向上の観点に立ち、ご依頼のニーズに合った調査・分析・提案・意見具申を行います。
成果につきましては、今までの実績を踏まえまして、ご満足頂けるものと考えます。

経緯
本組合では、鈴木將成技術士を中心とし、1996年から「鈴木PL協力会」と名称して、事故およびその他の技術的な事故原因解明の活動を行ってきました。
また組合では、大掛かりな技術論文の評価、技術的な特長を持つ地域開発計画や工業団地開発計画立案等を、プロジェクトを組んで行ってきました。
これらの活動を2004年に統合して「事故調査・技術評価の会」としました。

U.運営方針
1.事故原因究明について
1)事故等に関わる紛争の早期解決には、先ず、発生原因の把握と理解をした上で、方策を考えることが必要です。事故発生の早い段階から、公正な立場で調査究明を行います。
2)相手方との交渉、また法的な解決が必要な事案については、担当弁護士への当会の多くの経験例の提供が可能です。
3)ご依頼の業務を行うに当たり、責任者たる主担当を決め、3人以上の専門の異なるメンバーの参画による集団体制で、複眼的な問題分析と検討を行います。
2.技術調査評価について
1)ご依頼者のニーズに合わせた体制を、大学教員、大学TLOコーデイネーター、企業コンサルタント等でもある組合構成員から選任して、作ります。
3.業務の取り組み方法等の打合せは無料で行います(電話・eメールにて)。
その後の活動費用につきましては、業務内容の提案と見積書の提出により、進めます。

V.活動事例
1.事故及びその他技術的な事故原因解明
家電製品の火災及び自動車事故を中心に、当会設立以来30件を超える事件を手がけています。その主なものを別表1に示します。

2.プロジェクト活動として行った大型技術調査や開発計画への参画
現在までに5件程を手がけています。その主なものを別表2に示します。

W.本会事務局(問合せ連絡先)
大久保 俊彦 〒331-0061 さいたま市西区西遊馬142
Tel&fax 048-623-0302、eメールアドレス ookubo@cea.jp


業務費用一覧
業務メニュー 概要 期間・時間 おおよその費用
いきさつヒヤリング 事故・事件の概要を確認する(業務受託可否検討用) 1時間程度 不要
(但し、定例会会場以外で実施する時は、交通費等の実費請求)
技術相談 事故・事件の状況確認及び今後の取り組み方法等をアドバイスします 相談に携わる時間のみ 1万円/時間
再現・確認実験の実施 事故・事件に関する再現実験を計画・実施し、報告書を作成します 1〜3ヶ月程度 10〜50万円
原因究明報告書の作成 事故・事件に関する原因を調査し、報告書を作成します 1〜3ヶ月程度 10〜50万円
技術士意見書の作成 事故・事件に関する技術者として、裁判係争上の客観的意見を表します。場合によっては、証人尋問も受けます 3ヶ月程度 50〜100万円


活動事例

別表1 主な事故原因解析活動の事例
NO 事案名 事案概要 依頼者 当会のアウトプット 調査分析活動内容のポイント
1 クリーニング工場火災における集塵機メーカのPL保険請求事件 クリーニング工場の火災において、集塵機メーカがその製品欠陥を主張しPL保険を請求するも、保険会社は出火原因は別にあるとし支払いを拒否 民事訴訟において、
弁護士からの依頼
鑑定意見書(97年7月)
→「集塵機内部に堆積する、油脂を含んだ綿埃の自然発火」と集塵機の製品欠陥の指摘「綿埃堆積を防ぎ得ない構造」他
・裁判官参加の現場検証支援(98年11月)
・証人尋問出廷(01年5月)
1.油脂を含んだ衣類の酸化発熱による火災機序及び事例調査
2.クリーニング工場模型作成(火災原因候補の位置関係の明確化)、集塵機の現物と模型作成(構造説明;綿埃の堆積のしやすさ、焼き物の位置関係確認)
2 鑑賞魚水槽火災における損害賠償請求事件 アクリル製水槽が、留守中干上がり発火、家を焼失した。保温ヒータは、センサが大気中に露出し、オーバヒートしたとして、そのメーカを訴えるも、そのメーカは蛍光灯が出火元と反論 民事訴訟において、
弁護士からの依頼
鑑定意見書(98年1月)
→「水の干上がりによるヒータの加熱」と当ヒータの製品欠陥の指摘。「水が干上がり、センサの大気露出時の過熱対策の不備
1.兵庫県立生活科学研究所「熱帯魚ヒータの安全性」(阪神淡路震災における解析)の援用
2.事故発生日の気温変化とヒータ設定温度の分析
3 建物放火殺人事件 入浴中の少女が車庫からの出火により焼死した。両親が経済的に困窮しており、保険金欲しさに、自車のガソリンを抜き取り放火したとして起訴される 刑事訴訟において、
被告弁護士団からの依頼
技術士意見書(98年10月)
→「自宅車庫に駐車した車の自然発火」;放火を否定
技術士意見書(01年9月)
→車両火災の概況と本件における車両火災の可能性分析
・証人尋問出廷(98年2月から4回)
1.実車の焼き状況調査(燃料タンク口付近の車体の激しい焼き他)
2.本件固有の、燃料タンクの膨張変形を誘発する火災機序の解明
4 暴走転落自動車事故の損害賠償事件 制限速度オーバの暴走車が、車道から逸脱、転落大破し、女性乗員が死亡、男性乗員は重症を負うも生存。死者の両親が、男性が運転していたとして賠償請求 民事訴訟において、
弁護士からの依頼
技術士意見書(99年2月)
→車の挙動、運転者の特定「女性が運転」
技術士意見書(01年10月)
→相手方鑑定書と高裁判決に対する意見
1.事故時の車両の挙動の詳細な分析(時点時点の車速、発生G、車両姿勢の明確化)
5 輸入スポーツ車の暴走衝突事故におけるローン未払い事件 購入1ヶ月後の車が走行中エンジンが急激に高速回転し、車道を逸れ街灯支柱に激突大破。ローンの残る使用者はその払いを拒否するも、1審は無効判決 民事訴訟において、
弁護士からの依頼
技術士意見書(99年3月)
→エンジンの故障原因、車の衝突に至る挙動の解明「製品不良が原因」
1.車両、街灯支柱の変形状況を元にした衝突時の車速推定
6 スーパー店火災における工事施工業者への賠償請求事件 新築スーパー店の開店1ヶ月半後、火災が発生した。スーパー店は「電気工事業者の不手際・杜撰な配線工事により、電気ケーブルが損傷し、それによる電気火災である」として、損害賠償を請求。 民事訴訟において、
弁護士からの依頼
技術士意見書(00年10月) 
→「本件火災の原因は、配線工事時に生じたとする電気ケーブルの損傷からでなはい。」
1.通常の電気ケーブル配線工事の実施実験
2.延焼による損傷する電気ケーブルの短絡再現実験
7 輸入高級車火災における損害賠償請求事件 東名高速を走行中の車が中央分離帯に乗り上げ停車、その後火災を起こし、乗員が死亡。車の燃えやすさと火災発生時の有害物質発生の欠陥を指摘するも、車メーカは、乗員の覚醒剤中毒が原因と反論 民事訴訟において、
弁護士からの依頼
技術士意見書(03年4月)
→ブレーキ系配管の破裂に伴う噴出ブレーキ液による発火の可能性指摘。過レーシングや路側帯の植物への着火等誤使用を否定
8 台風による電子製品の水濡れ事故 台風による風水害で、電子製品が水濡れした。損保契約者は「全損」による保険金支給を求めるも、損保は損害内容を限定し、支払額の圧縮を希望する 損害保険会社から
2件の事案の依頼
見分結果報告書(04年11月)
→損害範囲、再利用の可能性及びその適用分野の明確化。
塩害解説書
→塩害メカニズムとダメージの大きさを解説
見分結果報告書(04年12月)
1.水濡れ製品の見分。損害状況の把握
2.再利用の可能性評価と再利用方法の提案
9 信号線を引き留める引留金具の破損事故 有線放送設備工事で使用した引留金具の鋼線が多数破損し、信号線と支持線が道路及び家庭の庭に垂れ下がった為、工事業者は全数取替工事となった。損害賠償事件。 民事訴訟において、
弁護士からの依頼
技術士意見書(06年6月)
→規格を外れた炭素含有量の多いステンレス鋼材の使用と熱処理の不良により生じる粒界腐食と応力腐食割れを起した、欠陥品である
1.本件金具の破断品、未破断品についての諸物性分析、電顕写真を公的機関に依頼。
2.金属材料の破断文献の調査


別表2 主な大型技術調査の事例
NO 事案名 事案概要 依頼者 当会のアウトプット 取り組み上のポイント
1 科学技術論文の技術評価 経済産業省の産業技術知識基盤構築事業の一環として、技術ニーズとシーズのマッチングを目的とした技術情報データベース作成のための、科学技術論文(約1万5千件)の技術評価を実施 社団法人J協会 「科学技術論文技術評価書」 広範な専門分野出身のメンバーは、幅広い業務経験と産学連携活動等の取り組み実績を持ち、要望に即したアウトプットに留意しながら業務を遂行しました
2 製品技術評価 経済産業省の産業技術知識基盤構築事業の一環として、日刊工業新聞社発行の「新製品情報」誌掲載の約5千件の製品技術評価を実施 「新製品技術評価書」
3 ベンチャー企業保有技術内容の調査 ベンチャー投資を行う地方銀行C社への、該当ベンチャー企業保有技術内容の評価を実施 地方銀行C社 個々の事案毎の「技術評価表」 上述の内容に加え、大学TLOのコーディネーターやベンチャー設立の実績を持つメンバーが、実践的な評価を心がけ、課題に取り組みました
4 中国への日本企業進出開発計画のフィージビリティースタディー 中国長江デルタ地域のほぼ中央部に位置するM市E地区の約5km2の土地について、日本企業向けの工業団地化を中心に、行政・商業・居住・教育の各施設を有する総合的な開発計画策定のためのフィージビリティースタディーを実施 財団法人K協会 「E区工業園開発提案書」 日本の中小企業コンサルティング経験が豊富で、中国の工業団地の実情に詳しいメンバーが、中国の実情を十分に把握し、本音を引き出すように知恵を絞りながら取り組みました
5 中国進出日本企業の実態調査(行政庁からの委託事業) 今後中国進出を予定する日本企業向け中国進出支援コンサルティングに資するため、長江デルタ地区、北京、大連及び深せん地区において、進出済み日本企業及び関係政府機関の実態調査を実施 行政庁及び財団法人K協会 「我が国中小企業の中国関連ビジネス環境の実態について 調査報告書」